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日本障害者ピアノ指導者研究会会長 迫田時雄氏■ ピアノ版パラリンピックに障がい児童を在宅出場させたい
■ 函館からバンクーバーへピアノ演奏をリアルタイム配信
「障がいがあってもピアノは弾ける!」を合言葉に、障がい者にピアノを教える音楽指導者約350人が作るNPO法人日本障害者ピアノ指導者研究会(IPD)は、ピアノ版のパラリンピック「国際障害者ピアノフェスティバル」を2009年9月30日から10月3日までの4日間、カナダのバンクーバーで開催した。4年前の横浜に続き2度目の開催で、11カ国から77人が参加した。
その中の1人に、函館市の小学6年生、奥本涼楓(すずか)ちゃんがいた。涼楓ちゃんは同フェスティバルへの出場を熱望していたが、生まれつき筋力が弱まるミトコンドリア筋症という難病で、人工呼吸器を付けて寝たきりの状態のため、バンクーバーまでの移動は不可能だった。そのためIPDでは、何とか涼楓ちゃんが自宅にいるままで出場できる方法はないかと、函館とバンクーバーをつなぐ手段を模索したという。
同フェスティバルの提唱者でもあるIPD会長の迫田時雄氏は「第1回のフェスティバルでは、ある難病の少年が出場を目標に頑張っていたが、開催前に亡くなってしまい、彼をずっと励ましてきた私も非常にショックを受けた。それもあって、涼楓ちゃんは絶対に参加させてあげたいと思い、何か方法はないかと悩んだ」と理由を語る。
配信イメージ図■ 自然な映像と、目の前で演奏しているようないきいきとした音
■ ブイキューブスタッフが現地に飛んで配信を担当
IPDではいろいろな配信ツールを実際に試してみたが、選定は困難を極めた。あるサービスは映像の動きがぎこちない上にピアノの繊細な音を伝えられず、別のサービスは映像・音声ともにクオリティーは高かったものの、コストまで予算の数倍という高さだった。困っていたところに、『nice to meet youセミナー』を紹介された。
迫田氏は「『nice to meet youセミナー』は映像の動きが自然で、音も目の前で演奏しているような、いきいきとした感じだった。コストも予算に見合うものだったので、運営者と、プロの音楽家としての両方の視点から、『nice to meet youセミナー』での配信を決めた」と語る。
さらに、配信作業を誰が行うかという問題も、ブイキューブのスタッフチーム2組がバンクーバーと函館にそれぞれ飛んで担当することで、解決できた。特にバンクーバーでは作業をめぐる会場側との折衝が煩雑だったが、ロサンゼルにある子会社V-cube, Inc.のスタッフが会場とメールで事前調整を行い、続いて日本から本社スタッフが現地に赴き、函館入りした別の本社スタッフと入念に配信テストを繰り返すなど、準備を万端に整えた。
また、フェスティバル当日はバンクーバーと函館に加え、札幌にも特設会場を作り、報道陣を集めてすべての模様を公開した。
■ 同じ感動を同じ時間に函館とバンクーバーで共有
■ 最新のエコーキャンセラーも利用し、スムーズなやり取りを実現
迫田氏によると、『nice to meet youセミナー』を使ってフェスティバルで演奏できると知った涼楓ちゃんはたいへん喜び、猛練習を始めたという。本番では、涼楓ちゃんは自宅のベッドで仰向けに寝たまま、上方に設置された電子ピアノでカナダ民謡など2曲を演奏し、その様子がバンクーバー会場の大スクリーンに映し出された。涼楓ちゃんが心を込めて奏でた音は電子ピアノの本体からライン入力で直接パソコンに取り込まれ、バンクーバーの聴衆は情感あふれる演奏を明瞭な音で聴くことができた。場内から自然と手拍子が起こったほど、函館とバンクーバーの両拠点は一体感に包まれたという。
また、演奏後のインタビューなどを円滑に行えるよう、音声のエコーバックを防止するYAMAHA製最新エコーキャンセラーも使用。会場の司会の呼びかけに涼楓ちゃんが手を振って応えるなど、涼楓ちゃんとバンクーバーの会場との交流というビジュアルコミュニケーションが、太平洋を越えてスムーズに実現した。
迫田氏は「同じ感動を同じ時間に函館とバンクーバーで共有できた。涼楓ちゃんも、ご両親も、私も本当にうれしかった。そしてこれは、他の寝たきりの障がいを持った方にとっても福音だと思う。在宅したままで演奏会に参加できる画期的なシステムがある、世界に演奏を披露する場を持てると知ったことで、本人にとっても親にとっても、そしてわれわれ音楽指導者にとっても、大きな夢が広がった」と意義を語る。
▼ピアノ版パラリンピック「国際障害者ピアノフェスティバル」で、函館の障がい児童のピアノ演奏が『nice to meet youセミナー』を使って、バンクーバーの会場へ配信された。同フェスティバルの運営者である日本障害者ピアノ指導者研究会の迫田時雄会長に、当日の模様や今後の展望などを聞いた。
■ 新しい才能の発掘につなげたい
■ 世界中に配信して、イベント規模を拡大していきたい
「障がいがあっても才能豊かな人はたくさんいる。新しい才能の発掘につなげたい」と迫田氏。世界で初めて、ピアノ版のパラリンピックである国際障害者ピアノフェスティバルという発表の場ができ、さらに在宅でも参加できる方法を確立できたことで、よりいっそう参加者、そしてピアノを始めようという障がい者のための裾野を広げたい考えだ。
迫田氏は「ハンディのある方の活躍の場をどんどん広げられるし、世界中のピアノの指導者を直接結びつけるチャンスも生まれた。世界は1つという言葉が現実になってきた」と語り、「国際障害者ピアノフェスティバルは始まったばかりで、認知度はまだまだ。日本国内にとどまらず、世界中に『nice to meet you』でこれを配信して賛同者を増やし、イベント規模を拡大していきたい」と意気込む。
参考動画(別ウィンドウで開きます):『nice to meet youセミナー』で配信された「国際障害者ピアノフェスティバル」
日本障害者ピアノ指導者研究会(IPD)
| 団体名 | 特定非営利活動法人 日本障害者ピアノ指導者研究会(IPD) |
|---|---|
| 業種 | 教育・福祉 |
| 本部所在地 | 東京都練馬区向山2-10-16 |
| URL | http://ipd-piano.sakura.ne.jp/ |
※本事例は2010年1月に取材した内容を基に作成・掲載しております。現在の取材先企業のサービス内容とは関わりありませんのでご注意ください。










